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ガンマ線バースト探査衛星 Swift

 ガンマ線バースト探査衛星 Swift はアメリカ NASA の中規模エクスプローラー (Midium Explorer; MIDEX) ミッションとして 1999年に採択され、2004年11月にデルタIIロケットで打ち上がられました。Swift 衛星はガンマ線バースト研究において研究者を驚かす観測結果を次々ともたらしています。継続時間の短いショートバーストの残光の発見、宇宙初期に発生したガンマ線バーストの発見、5等級で輝いていたガンマ線バーストのガンマ線放射と同期した可視光放射の発見などあげればきりがないほどの重要な観測結果を出しています。2013年現在、衛星を含めすべての観測装置は元気に稼働しています。

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Swift 衛星

 Swift衛星の最大の特徴は、完全な自立型の衛星である点です。ガンマ線バーストの検出、衛星の姿勢変更、そして、狭視野望遠鏡による追観測がすべて自動的に行われます。ガンマ線バーストは突発的な天体現象で、その電磁波放射は時間とともにどんどん減光します。人間が介在しないで (人間が介在すると必ず観測の遅れを生じます)、すべての観測を自動的に行う Swift 衛星について簡単に紹介します。

 Swift 衛星には 3つの観測装置が搭載されています。ガンマ線バーストの検出、およびその到来方向を決定する、Burst Alert Telescope (BAT)、X線領域でガンマ線バーストの残光観測をおこなる狭視野X線望遠鏡の X-Ray Telescope (XRT)、可視紫外線領域でガンマ線バーストの残光乾燥を行う狭視野可視紫外線望遠鏡の UV/Optical Telescope (UVOT) の3つです。

▲Swift 衛星の概要図。真ん中で大きな面積を占めているのが BAT、上部分に XRT と UVOT が位置している。

Burst Alert Telescope (BAT)

 BAT は焦点面に 32768個 (1素子の大きさは4 x 4 x 2 mm^3) の亜鉛テルル化カドミウム (CdZnTe) という半導体検出器を敷き詰めて、その焦点面から約1mの所に2次元符号化マスクをもつ硬X線イメージャーです。ガンマ線の到来方向は2次元符号化マスクで作られるマスクパターンを焦点面の検出器で検出し、そのパターンを解析する事で (ガンマ線の到来方向によってパターンが変わるため)、決める事ができます。位置決定精度は1-3分角です。全天の約 1/6 を一度に監視しています。観測エネルギー帯は 15-150 keV です。NASA のゴダードスペースフライトセンターとロスアラモス国立研究所で開発されました。

 BAT は 15-150 keV というエネルギー帯域でのガンマ線天体のイメージ、光度曲線、スペクトルを調べる事ができます。BAT のデータはガンマ線バーストの研究はもちろんの事、既知の天体の時間変動を調べたりや現在の所、最も感度の良い硬X線領域での全天サーベイマップを提供しています。

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▲左: BAT の概要図、中央: BAT の 2次元符号化マスク、右: 128 個の CdZnTe 素子

X-Ray Telescope (XRT)

 XRT は 0.3-10 keV というエネルギー帯に感度のある X線望遠鏡です。安く、早く作るために、X線望遠鏡は Spectrum X-Gamma 衛星用に開発されたスペアー品を用い、焦点の X線 CCD は XMM-Newton 衛星に搭載されている EPIC カメラ用に開発されたものと同等のものを使用しています。位置決定精度は数秒角 (2-5秒角)、視野は 23.6 x 23.6 分角です。エネルギー分解能は ~140 eV (@6 keV) です。

 BAT の精度の高い位置情報と速い衛星の姿勢制御のおかげで XRT は今まで観測が難しかったガンマ線バースト発生後、約 100秒からの X線初期残光の観測に成功しました。XRT は Swift の機動力を利用した、既知の天体のX線でのモニター観測などでも世界中の研究者に利用されています。

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左: XRT のX線望遠鏡、中央: 焦点面の X線 CCD、右: アセンブルされた XRT

UV/Optical Telescope (UVOT)

 UVOT は口径 30cm の紫外線から可視光まで 7色のフィルターで観測できる望遠鏡 (リッチークレチアン式)です。XMM-Newton 衛星の Optical Monitor (OM) をコピーして作られました (XRT 同様、安く、早く作るためです)。マイクロチャンネルプレートと CCD (Micro-channel plate intensified CCD) を用いる事でフォトン1個1個を読み出す事ができます。7色のフィルターの他に、紫外線と可視光帯域のグリズムを 2つ搭載しています。観測帯域としては 170-650 nmです。視野は17分角です。

 UVOT はガンマ線バーストの可視光観測はもちろんの事、今まで観測がほとんどなかった紫外線やX線での超新星の観測で大きな成果をあげています。

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左: UVOT の焦点面 (フィルターホイールが手前に見えています)、右: アセンブルされた UVOT


Swift衛星についてさらに詳しく知りたい方は NASA Swift ページをご覧下さい。