MAXI (Monitor of All sky X-ray Image): 全天X線監視装置

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MAXI とは

 MAXI (Monitor of All sky X-ray Image) は 2009年8月に運用を開始した日本の X線天体を監視する装置です。国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の船外に取り付けられています。MAXI の使命の一つは突発天体を発見して直ちに全世界に速報する事です。

 MAXI に搭載されている Gas Slit Camera は理研、東工大、青学の共同で開発されました。坂本研では MAXI のデータ解析、そして運用を行っています。

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左図: MAXI の外観図、右図: MAXIがとりつけられている、「きぼう」の船外実験プラットフォーム

MAXI がなぜ必要か

 宇宙にはX線を放射する高エネルギー天体が数多く存在します。また高エネルギー天体は時間変動が激しいので観測のチャンスを逃さないために全天を監視する MAXI が必要なのです。また、MAXIは全天が見られることを利用して重力波源のX線での探査も行っています。

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MAXI の観測による全天のX線イメージ

MAXI の2つの目

 MAXI には2種類のカメラが搭載されています。ガス比例計数管を用いた GSC (Gas Slit Camera) と X線CCDカメラを用いた SSC (Solid-state Slit Camera) です。GSC は広い面積を持っているので 暗い天体まで観測ができます。また広い範囲のエネルギーを持つ X線天体の観測に適しています。一方、SSC は観測できるエネルギー範囲は GSC よりも狭いですが、高い精度で天体のX線スペクトルを調べる事ができます。

MAXI の主なターゲット

 MAXIの観測対象はX線連星、X線新星、活動銀河核やガンマ線バーストなどの時間変動帯や突発天体です。

 下の図には、MAXIが新しく発見したX線天体の名前が書かれています。また、背景の画像は、MAXIの検出器GSCとSSCで観測した全天の画像です。

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 下の図は、2019年1月26日に発見された、MAXIの観測の中でも非常に明るいブラックホール候補天体、J1348-630です。14日間で急激に明るくなり、約230日かけて減光しました。

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 MAXI J1348-630の画像(上)と明るさの変化の様子(下)。下のグラフの上段はエネルギーの低い(2-6 keV)X線の明るさ、下段はエネルギーの高い(6-20 keV)X線の明るさ。横軸は日付。はじめの頃はどちらも同じように明るくなっているが、10日ほどたつとエネルギーの高い方は暗くなりはじめ、それとは逆にエネルギーの低い方はさらに明るくなっていったことがわかる。このようにエネルギーによって明るさの変化の仕方が異なるので、画像でもはじめの頃は青く、しばらくたつと赤く色が変化する。

 Swift衛星の科学運用チームはMAXIの報告から6時間以内に同衛星のXRT検出器で追観測を行い、秒角の精度で位置が決まったことで、新天体であることが確認できました。また、別の例では球状星団の中の星が密集した領域に新天体を検出したため、より天体の位置を細かく調べることが可能なChandra衛星が、天体が太陽近くでSwift衛星が観測できないときはNuSTAR衛星やNICER X線観測装置が追観測を行い3つの新天体を確認することができました。このように、MAXIは他のX線天体衛星と協力しながら新天体の観測を行っています。


もっと詳しく知りたい方は理化学研究所のMAXIページをご覧ください。