Goddard Robotic Telescope (GRT) はガンマ線バーストなどの突発天体やジェット天体の時間変動、そして雷雲と同期した発光現象 (スプライト) を主に観測するためにつくられた観測装置です。狭視野のロボット望遠鏡である GRT と広い視野をモニターする GRT-WF (GRT Wide-Field) の2種類の観測システムがあります。GRT はアメリカのメリーランド州にある NASA Godard Space Flight Center の観測所 (Goddard Geophysical and Astronomical Observatory) に、GRT-WF はアメリカのフロリダ州にある Florida Gulf Coast University の建物屋上に設置されています。GRT は 2008年終わりから、GRT-WF は 2011年の夏から本格的な観測を開始しています。

GRT

 GRT はアマチュア向けに販売されているハードウェアを用いる事で安く、そして早く運用を開始する事を目標に作られました。望遠鏡の鏡筒はセレストロン社の口径 14 インチ (=35.6 cm) の C-14、赤道儀はアストロフィジックス社のドイツ式赤道儀である 1200GTO、CCD カメラはアポジー社の U-47、フィルターおよびフィルターホイールは Finger Lake Instrumentations 社 の研究用のUBVRI フィルター(R28)とCFW-1-8、電動フォーカスはJMI社のEV2CM、そして、観測小屋は Astro Haven社の クラムシェル型の 7 foot ドームで構成されています。実際、ハードウェアの購入を開始してから、約1年で本観測を開始できました。また、すべてのハードウェア購入にかかった金額は5万ドル以下です。

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左上: 望遠鏡と赤道儀、上中央: 小屋を閉じた状態、右上: 小屋の中の様子、左下: 小屋を開けた状態から見える望遠鏡、右下: 望遠鏡の焦点につけられた CCD カメラ、フィルターホイール、電動フォーカス。


 
 

 望遠鏡周りのハードウェアは ACP という Windows ベースのソフトを使ってすべてコントロールしています (ACP がなかったら、これだけ短期間に観測の自動化は不可能だったでしょう)。スケジュール、および、雨センサーによる小屋の開閉はもう一台の linux PC によって制御しています。

 ガンマ線バースト GRB 120119A の可視光対応天体の検出に成功しています。モニター観測をしているジェット天体 (ブレーザー)の観測の様子はこちらから。また、GRT で観測したメシエ天体のギャラリーはこちらからどうぞ (2013年度吉田研の4年生遠藤君が作ったイメージもあります)。

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左: M1 (かに星雲)、中央: M51 (4年生 遠藤君作)、右: M104。


GRT についてもっと知りたい方は GRT のホームページをご覧ください (ただし、英語ですが)。


GRT-WF

 GRT-WF は Fermi衛星の GBM が検出している雷雲ガンマ線 (Terrestrial Gamma-ray Flash と言います) と同期したスプライトと呼ばれている可視光での発光現象を観測できないかというモチベーションで作りました。Fujinon YV2.7x2.9LR4D-SA2 のレンズと Watec 902H2 のCCDで構成されたカメラを 8台用いて、観測できる空をすべてカバーしています。GRT-WF が置かれているフロリダ州はアメリカでも有数の雷発生地帯であるため、運用を開始して 2年程度ですが、既に 100を超えるスプライトの検出に成功しています。また、火球や流星なども多く検出しています (下のイメージ参照)。


GRT-WF の観測結果は FGCU の GRT-WF のホームページをご覧ください (ただし、英語ですが)。


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左: GRT-WF のカメラ、右: 設置された8台のカメラ。

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GRT-WF で観測したスプライトギャラリー

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左: GRT-WF で観測された火球、右: 流星