AROMA (AGU Robotic Optical Monitor for Astrophysical object)

 AROMA はガンマ線バースト、ジェット天体、ブラックホール天体、そして超新星などの突発天体現象を可視光で即座に観測するために開発されたロボット望遠鏡です。相模原キャンパス L棟屋上に設置されています。口径 35 cm の狭視野望遠鏡と冷却 CCD から構成されています。

AROMA Narrow (AROMA-N)

AROMA-N.JPG

AROMA-Nは以下の機器で構成されています。
・口径35cmの望遠鏡
・冷却CCDカメラ
・ジャーマン式赤道儀
・レデューサー
・電動フォーカサー
・カラーフィルター

 ドームに設置された雨センサーによって雨を感知したら自動的にドームを閉鎖します。限界等級は16-17等級程度です。視野は20分角です。ドームと赤道儀の動きを連動させるためのドームコントローラー (ニッシンドーム社製)と雲センサー (Lunatico Astronomia社製)を導入し、すべてのハードウェアを ACP という一つのソフトウェアでコントロールできるようにしました。現在は、テスト観測を終え、本格的な自動運転を 2013年10月から始めています。現在 (2020年7月) はGCN(Gamma-ray Coordinates Net-work)というガンマ線バーストの位置情報速報ネットワークの情報をもとにしたガンマ線バーストの追観測や、ブレーザーのモニター観測を行っています。

AROMA-Nを用いた研究

ガンマ線バースト(GRB)の追観測

 GRBは宇宙のある一点から、数十ミリ秒から数百秒という短時間に莫大なガンマ線が放出される現象です。GRBの発生情報をGCNから自動的に受信し、AROMA-Nで追観測を行います。

AROMA-NによるGRB追観測の結果(一部抜粋)
観測日時(UT) 観測天体 上限値 積分時間 GCN
2019-01-02 INTEGRAL Weak 190102 19.1等級 1800秒 23650
2019-01-03 INTEGRAL Weak 190103 17.7等級 1500秒 -
2019-01-23 GRB 190123A 18.0等級 1800秒 23786
2020-01-15 GRB 200115A 19.1等級 3600秒 26801
2020-03-24 GRB 200324A 17.6等級 3240秒 27445

ブレーザーの観測

 銀河の中心には活動銀河核とよばれる、強い電磁波を放射している天体があります。ブレーザーはこの活動銀河核から放出される超高速ジェットを正面から観測したものです。ブレーザーは光度変化が激しいことが特徴で、AROMA-Nではブレーザーのモニター観測を行い、長期間での光度変化を調べています。観測結果から、ライトカーブ(横軸:時間、縦軸:明るさ(等級))の作成を行います。

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左図 : AROMA-Nで撮影したブレーザー(青い丸) 右図 : PKS 0716+714のライトカーブ