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ARICA : AGU Remote Innovative CubeSat Alert System
ARICAは『ガンマ線バーストの速報』を目的として作られた超小型衛星です。CubeSatという名前の通り1辺が10 cmのキューブ(立方体)の形しています。現在、JAXAのプロジェクトである 革新的衛星技術実証2号機の公募に選定され、2021年度に打ち上げ予定です。ARICAは衛星バス部の開発は行わず既製のものを使用しミッション部のみの開発を行っています。
目的
いつどこで起こるかわからないガンマ線バーストはその時刻、位置情報を速報することで追観測できる可能性が広がります。そこでARICAは簡単に手に入る民間の企業が提供する衛星電話用に開発された通信端末を搭載して、その端末がガンマ線バーストの速報システムとして十分に実用可能であるかを実際に宇宙に飛ばして半年間検証します。▲左:ARICAのイメージ図(斜め)
右:ARICAのイメージ図(真横)
現状のガンマ線バーストの速報システム
現状の速報システムには、TDRSS(Swift)とHETE-2があります。
・HETE-2
HETE-2は2000年に打ち上げられた、世界初のガンマ線バースト観測衛星です。周回軌道である赤道上に設置された14ヶ所の地上局のうち一番近い局に信号を送信するという、宇宙との通信では一般的な方法で地上とデータ通信を行います。
このシステムは主にアンテナ、受信機、コンピュータから成っているので低コストであることが特徴です。
しかし、軌道上に複数の地上局を設置し運用し続ける必要があることから、多くの労力が必要であるという問題があります。

・TDRSS
TDRSSはNASAが開発したデータ中継衛星を利用したシステムです。ガンマ線バーストを観測したSwift衛星は、このTDRSSを介して地上とデータを通信します。
このシステムではHETE-2とは異なり、地上局を複数設置する必要もなく、ガンマ線バーストの速報を地上で受信することが出来ます。
しかし、システムをNASAが所有しているため、NASA以外のミッションでの利用が困難であるという問題があります。

通信端末
通信端末には、イリジウム社のShort Burst Data(SBD)とグローバル社のSTX-3を使用します。
・イリジウム衛星
イリジウム衛星は、高度780kmの軌道上に66基あるデータ中継衛星です。SBDと呼ばれる通信端末を用いることでイリジウム衛星を経由してデータ通信を行うことができます。
この通信システムでは、世界各地で端末との通信が可能である他、双方向の通信が可能である点が特徴です。


・グローバルスター衛星(STX-3)
グローバル衛星は、高度1414kmの軌道上に32基ある地球周回衛星です。STX-3と呼ばれる通信端末が近くの衛星と通信して、13ヶ所以上の地上局のうち最も近い地上局にデータを下ろすという仕組みになっています。
この通信システムは、イリジウム衛星を通じた通信とは異なり単方向の通信にのみ対応しています。


構造
1.検出器※1、GPS、GPSアンテナが搭載される基板
2.衛星の制御を担う(高速ADC※2とFPGA※3を搭載した)基板
3.衛星の通信端末(SBDとSTX-3)が搭載される基板
4.衛星の電源となる太陽光パネルやバッテリーの状況を把握するEPS※4がある基板
5.衛星の姿勢を感知するセンサが載る基板
6.太陽光パネル
※1 検出器:以下の2つから構成されている
・GAGG:ガンマ線シンチレーター、発光量が多く減衰時間が短いためエネルギー分解能と時間分解能に優れている(下図左)
・MPPC:GAGGからのシンチレーション光を収集する光センサー(下図右)
※2 ADC:アナログデジタル変換回路、検出器からのアナログ値をFPGAが読み取れるようにデジタル変換する
※3 FPGA:製造後に設計者が構成を設定できる集積回路(デジタル回路)
※4 EPS:電源制御を担当する部分で10Whのバッテリーを2個搭載しこのバッテリーから電源を生成し出力する